器と珈琲






「大坊さんの珈琲が飲めるなんて 幸せだわ❤」
ひの子さんは青山までルンルン気分で出向いたそうじゃ うつわ屋さんのイベントでさ「作家さんの器で大坊さんの珈琲が頂ける」っちゅー企画じゃったらしいのいね そりゃあ幸せなこっちゃ

うつわ屋さんで出てきた珈琲は ある作家さんの 厚手でザラッとした感触の シブ~い器じゃったそうや。器や環境によって 珈琲の味わいも随分と変わるけいね その時の味わいはその時だけのもの その空間にいた人だけの宝物 大いに楽しまんとね
大坊さんは表に出てくることなく気配しか感じられんかったらしいけど かつてのお店でもそうであったように ポットを固定しネルをくるぅ~くるぅ~とゆっくり回しながら 湯を細ーく垂らし淹れる大坊さんの姿が目に浮かんだことじゃろう
大坊さんが丁寧に淹れてくれた珈琲が目の前にある そう思うと ひの子さんはひとくちひとくちを いとおしむようにだいじにだいじに頂いとったそうじゃ 

しばらくすると 年配のご夫婦が入ってこられたそうじゃ

丁寧に淹れられた珈琲は 同じような作家もののカップで 厳かに供されたらしい
ご夫婦は 出されたそのうつわをしばらくじっーと見つめたあと スタッフを手招きして
「この珈琲は 大倉のカップじゃないとダメだ」みたいなことを言い始めたそうじゃ。スタッフは「お待ちください」と一旦奥に引っ込んで しばらくしてから戻ってこられて男性にゆーたそうじゃ
「今日は この器で大坊さんの珈琲を楽しんでいただく企画ですので ご理解ください」

ご夫婦は不満そうに 再び器をじっーと見つめていたかと思うと 男性が一口だけ口をつけて 奥様と一緒にスッと お店を後にしたそうじゃよ


2016/09/19 22:38








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